当院ではストレスや自律神経の乱れが痛みや不定愁訴を誘発していると思われる患者さんが年々増加傾向です。
特にコロナ禍以降は急増しています。
ストレスフルな社会生活に加えて、コロナ禍によるストレスがより拍車をかけているものと思われます。
これらの症状改善に効果がある患者さんが自ら出来るセルフケアーの方法をこれまでも記事にしてきましたが
今回は森林浴です。
森林浴という言葉が使われ始めたのは30年以上前だと思いますが
森林浴がストレスを軽減しり体に良い効果をもたらすメカニズムが近年科学的に解明されて来ています。
森林浴が体に良い影響を与える主な理由は下記の二つです。
1、樹木が分泌しているフィトンチッドの効果
樹木は自らを細菌から守るためにフィトンチッドと言う物質を放出しています特に針葉樹が沢山分泌するそうです。
森に行くと爽やかな香りがするのはフィトンチッドを呼吸と一緒に吸い込むからです。
このフィトンチッドが人間にも良い影響を与える事が分かって来ました。
2、森林環境の中にあるf分の1揺らぎ
「f分の1揺らぎ」とは簡単に言うと不規則な動きや音の事です。
森林の中は、木の葉の木漏れ日、風のそよぐ音、渓流の流れや音、小鳥の鳴き声、等「f分の1揺らぎ」で溢れています。
このf分の1揺らぎは人間をリラックスされる効果が高い事が解明されました。
森林でフィトンチッドを呼吸とともに吸い込んだりf分の1揺らぎを五感で感じる事で
体に下記のような生理的な変化が起きるそうです。
1、ストレスホルモンであるコルチゾールが減少する
2、リラックスモードの自律神経である副交感神経が優位になる
3、自然免疫細胞の一つであるNK細胞の活性が高まる
4、抗がん効果のあるタンパク質が増加する
5、脳がアルファー波(リラックス状態の脳波)の状態になる
このような生理的な変化が人間の心身に様々な良い影響を与えてくれます。
1、「緊張」「抑うつ」「怒り」「イライラ」などのストレス状態が低減する
2、「活気」「活力」「やる気」などの意欲が回復
3、「身体の痛み」「不定愁訴」等の自覚症状が改善
4、血圧の低下、脈拍の減少、血糖値の低下などが起きる
5、免疫力や抗がん作用が向上する
樹木がフィトンチッドを一番多く分泌するのは6月~8月だそうです。
特にスギ、ヒノキ、もみの木などの針葉樹がフィトンチッドを多く分泌します。
日本の森林は戦後の植林の影響でスギやヒノキなどの針葉樹が多いです。
針葉樹の植林はスギ花粉症の誘発や森の生態系を壊したなどと功罪の罪の面が強調されますが、
こと森林浴については功罪の面が発揮されています。
数時間森林浴をすると効果は約1週間程度は持続するそうです。
森林を自分の気持ち良い速度ででブラブラ歩くだけで効果があります。
そしてフィトンチッドの濃度が高いのはまさに今の時期です。
日頃のストレスが強い方
コロナ禍でストレスを受けている方
免疫力が低下したと感じる方
やる気や元気が出ない方
体が慢性的に疲れている方
原因不明の不調が続く方
は是非機会を見つけて森林浴に出かけてみて下さい。
心身に良い効果があるはずです。